
金融アプリの「再現しない不具合」に現場責任者の工数が奪われる――その要因と対処法とは
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【1】金融アプリ開発の悩みの種「迷宮入り不具合」が現場を疲弊させる
【2】なぜ、不具合の原因特定に時間がかかるのか?2つの要因とは
【1】金融アプリ開発の悩みの種「迷宮入り不具合」が現場を疲弊させる
スマートフォン用のアプリを開発する際、アプリが正しく動作するどうかを検証する「テスト工程」は欠かせません。特に金融業で用いるアプリの場合は、些細なデザインの表示崩れであっても、顧客の信頼を損ねる不具合と見なされます。不具合の発生の有無を確認し、さらにその不具合を解消するための作業に、多くの工数がかかっているケースも多いでしょう。
不具合の発生自体も大きな問題ですが、それよりも現場を悩ませる原因となるのが、不具合が発生する条件を解明できないことです。
現場責任者は、アプリのテスター(テスト担当者)から、不具合の報告を受けます。しかし、その報告を基に不具合が起きたとされる状況を再現しても、問題が発生しないケースもあります。たとえば、特定の条件でアプリがクラッシュするも、その再現手順が不明確だったり、手元のスマートフォンは報告どおりの不具合が再現せず、調査が進まないということも起こりがちです。
こうした状況に陥ると、開発チームはもう一度不具合が出るまで、考えられるさまざまなパターンを試すことになります。仮に不具合を再現できず、「迷宮入り」したままアプリをリリースしてしまうと、リリース後に大きなトラブルに繋がってしまう恐れがあります。現場責任者は、何とかして不具合が起きたとされる状況を再現しようと躍起になり、それが大きな負担となっています。

ユーザー環境におけるスマートフォンの利用環境の幅は広く、さまざまなスマートフォン、さまざまなバージョンのOSが存在します。そのため、再現できなかった不具合を放置したままリリースすると、ユーザー環境でも同じような不具合が発生する恐れは十分に考えられます。
アプリがリリースされた後にユーザー環境で不具合が発生してしまうことを、業界では「市場不具合」と呼びます。市場不具合はクレームの原因となり、ブランドイメージや企業の信頼性の低下の原因となります。
特に金融アプリはユーザーのお金に直結するため、「アプリが突然クラッシュして、決済が完了できなかった!」「お金を振り込んだはずなのに、処理されていなかった!」といったトラブルは致命的です。こうした市場不具合はユーザーに企業やサービスに対する不信感をもたらし、顧客離れにつながり、やがてはビジネスに悪影響をもたらす可能性があります。
【2】なぜ、不具合の原因特定に時間がかかるのか?2つの要因とは
アプリの不具合の再現に時間がかかる要因は、大きく2つに分けられます。環境要因とプロセス要因です。
環境要因とは、たとえばスマートフォンの機種やOSの種類・バージョン、「WebView」の仕様、ネットワーク環境など、スマートフォンのハードウェアに依存する要因のことです。
たとえば、特定の機種で特定の古いバージョンのOSをアップデートせずに使っている場合にだけアプリがクラッシュする場合、その不具合を再現するためには、同じ機種・同じバージョンの端末を用意する必要があります。しかし、OSを最新バージョンにアップデートしている端末では、不具合が発生しないこともあります。
このほか通信環境の悪化により、アプリが通常の処理作業ができなくなることも、環境要因に含まれます。
あるQRコード決済アプリでは、決済がお得になるキャンペーンを実施した結果、アプリユーザーからの決済が集中、アプリが繋がりにくくなり、すでに完了した決済がもう一度処理されてしまう「二重決済」の不具合が発生したといいます。こうした不具合を再現するためには、機種だけでなく、特定バージョンのOSにおける確認、通信 環境を準備したうえでのテストを行う必要があります。
2つ目のプロセス要因とは、再現手順が不明確だったり、あるいはスタッフ間の伝達ミスのような、認識の齟齬やコミュニケーションロスといった「認識の差」のことです。機種やOSが同じであっても、操作する人によって何らかの違いが生じていれば、それが不具合発生の条件となり得ます。タップ操作にかける時間のわずかな違いや、バックグラウンドアプリの状況により、不具合が生じるかどうかが変わるケースもあり、不具合の再現に時間がかかる要因となります。
不具合は、ここまで紹介したようなさまざまな要因によって発生します。多くの要因が考えられるために、不具合の再現および原因の特定には多くの時間がかかるというわけです。
【3】不具合再現のための環境を自前で整備することは、大きな負担である
不具合を再現するためには、同じ機種のスマートフォンを用意し、OSのバージョンも同じものにする必要があります。これを実行するためには、自社で多数の端末を所持・管理することが求められます。
さらに、端末を操作するために充電し、OSを同じバージョンにするためにアップデートといった細かい作業も必要になります。しかも、一度アップデートしたバージョンはダウングレードできないため、特定のバージョンのOSを揃えるのも簡単なことではありません。要は、検証を始める前段階で、既に多くの工数が発生しているというわけです。
このようにして技術的要因による不具合がないかを確認した結果、それでも不具合が再現できない場合は、人的要因の再現を試みます。先ほど挙げたような、OSの設定やバックグラウンドアプリの有無、操作方法などについて検証し、どのようにすると不具合が再現できるかを探っていきます。
人的要因による不具合を発見するためには、たとえば「どのタイミングで通信が瞬断したか?」、「バックグラウンドでどのメモリが解放されたか?」といったような、“なぜ不具合が発生したのか”という原因ベースの視点でアプリをテストしていくことが重要です。
この動作確認の作業はテスターの仕事ですが、とはいえテスターの記憶に頼る方法では限界があります。テスターの記憶に頼って操作しても不具合が再現できず、結果的に「不具合なし」と誤認するリスクもあります。

こうした“運まかせ”で非効率な作業を変えるためには、テスターがどのような操作をしたかの証跡を記録する「ログ」を残しておくことが重要です。ログを残すことで、なぜその不具合が発生したのか、その原因が追えるため、“運まかせ”でテストを振り返るよりも、効率的に作業を行うことができます。
とはいえログを残すにも、相応の環境整備が求められます。たとえば操作ログを残し忘れたり、ログの粒度が粗く、内容が不明瞭だったりすると、不具合の再現は難しいでしょう。
参考:開発とQAの壁をなくす! チームの生産性を高める テスト進行最適化の3つのポイント
【4】クラウド実機テストなら、すぐに不具合が再現できる!Remote TestKitの活用法方法
ここまでに挙げたような「不具合を再現するための環境整備に時間がかかる」という問題を解決するための有効な手段が、クラウド実機テストです。多数のスマートフォン実機をクラウド上で利用することで、必要な時に、OS・機種・ハードウェアの組み合わせを即座に用意でき、テスターがすぐに検証に取り組むことができます。加えて、充電やOSアップデートなど、スマートフォン管理するための工数も不要です。
NTTレゾナントテクノロジーが提供している「Remote TestKit」も、クラウド経由でスマートフォンの実機テストが実行できるサービスです。現在使用中のPCから、クラウド経由でスマートフォンの実機に接続し、アプリの動作検証を実行できます。
Remote TestKitでは、機種やOSの種類が多彩です。Galaxy/Pixel/iPhoneなど主要なシリーズをはじめ、新旧700機種以上、1,200 台以上に及ぶスマートフォンと、さまざまなバージョンのOS(iOS6~26、Androd 2~16)から、必要な組み合わせを選択することで、すぐに検証環境が整います。そこに、開発中のアプリをインストールすることが可能です。
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これにより、従来のような「検証用の機種やOSを準備し、開発中のアプリをインストールする」といった作業が必要なくなるため、環境整備にかかる時間が大幅に短縮します。複数の端末を並行して利用することも可能であるため、検証作業自体も効率化します。検証用の端末を購入・管理する必要がなくなるため、コストについても大きく削減できます。
さらに、多くの自動テストツールと連携することも可能です。たとえばオープンソースのテスト自動化ツール「Appium」にも対応しています。
通常のAppiumでは、ローカルPCへのNode.jsやサーバー環境の構築、そして実機端末の用意に多くの手間がかかりますが、Remote TestKit と組み合わせたAppium 自動テストクラウドを使えば、サーバを構築したり手元にスマホを用意すること無く、Appium自動テストが可能になります
※ Remote TestKit Appium Cloud は、 Flat 3以上のプランをご契約しているお客様のみご利用いただけます。
端末の操作ログや、画面のスクリーンショットの保存にも対応しています。現場責任者が、動画やHTMLで記録されたテスターの操作ログ・スクショ画面を確認することで、不具合が発生した際の状況を短時間で再現できます。
クラウド利用に際し、セキュリティ面を懸念する企業もあるかもしれません。しかし、Remote TestKitではセキュリティを担保するために、利用後に毎回自動で端末内のデータを削除しています。厳格なセキュリティ基準が求められる金融アプリの開発においても、安心して導入できる設計となっています。
不具合の原因特定や不具合の再現に悩む時間を減らすことは、開発現場全体の余裕と品質を守ることにつながります。もし検証作業に面倒を感じているのであれば、Remote TestKitでそのやり方を見直してみてはいかがでしょうか。
Remote TestKitを活用した生産性向上のポイントはこちら

